タバコ広告の歴史


日本のタバコ広告・規制の流れ

●現状(2003.12現在)
(1)日本ではタバコ広告に関する法的規制はない。1998年にテレビ・ラジオ、映画
館、インターネットでの個別ブランド広告が自粛されているが(自主規制)、新聞・
雑誌、看板での広告は対象外で、テレビでも喫煙マナーに関する広告は継続されてい
る。
(2)全国の小中高校生がよく読むとされる雑誌には多くのタバコ広告が認められた
との報告があり、未成年者の喫煙防止対策上、タバコ広告に関する議論が必要。
(3)財務省は2004年春をめどに、タバコの広告や販売促進活動の規制を大幅に強化
する。

●タバコ広告・規制の主な経過(日本タバコ協会資料から)
85年 4月 午後6時〜8時台のテレビCM
女性向けと、読者の50%以上が未成年者の雑誌への広告
未成年者に人気のあるタレント、モデルの起用
87年 8月 女性の喫煙ポーズの広告
89年 1月 午前5時〜午後8時台のテレビCM
95年10月 週末のラジオCM
小・中・高校の正門から100メートル以内の屋外広告
98年 4月 テレビ、ラジオCMの全面中止
02年 6月 読者の25%以上が未成年者の雑誌

●主なタバコ規制の強化案  
<現 在>     <規制強化案>

◆見本品配布    タバコ業界で街頭配布     レストラン・小売店頭
             自主規制            含め全面禁止の方向
          
◆車内広告     規制なし 禁止を検討

◆マスコミ      夜間のテレビ、映画、      テレビ、映画、インター
           インターネットなどは        ネットも法的に禁止
           法的には認めているが、
           タバコ業界は自粛

◆街頭看板    小・中・高の周辺は      禁止区域を拡大
            自主規制  

◆スポーツなど   規制なし          規制を検討       
 イベントの
 スポンサー

●日本公衆衛生学会速報(2001.11.6)
タバコCM自粛後は喫煙シーンが増えるー人気ドラマ6作品の分析結果からー
 日本のタバコ会社は、テレビやラジオ、インターネットなどにおけるタバコの製品
広告を1998年4月から自粛している。一方で、テレビドラマには、タバコの喫煙シー
ンが登場する。こうしたシーンの未成年者への影響を懸念している川村学園女子大学
教育学部の坂口早苗氏らは、喫煙シーンやタバコ関連の場面が何回出てくるかを人気
テレビドラマ6作品で詳細に分析し、その結果を11月2日の一般演題(示説)「健康
教育」で発表した。

●電車内・テレビのたばこ広告禁止へ 財務省が規制強化 (2003.12.13)
タバコ広告への規制が05年7月にも大幅に強化される見通しになった。タバコ業
界を所管する財務省が、バスや電車、タクシーといった公共交通機関での車内広告な
どを原則として禁止する方針を固めた。タバコ業界はすでにテレビCMなどを自主規
制していたが、それを上回る厳しい規制がかかることに対し業界側の反発も予想され
る。
 業界は現在、テレビやラジオ、インターネット、屋外大型スクリーンなどでのCM
を自粛しているがこれを公的にも禁止する。さらに未成年者の目にふれやすい学校の
近くでの屋外広告看板の設置や、見本タバコの配布についても規制を強化する方針。
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)での議論を経て、03年度中にも正式に決
める。
 タバコ広告は、たばこ事業法に基づき89年に作った指針で規制されてきたが、実
際には業界の自主規制が先行していたため実効性はなかった。世界保健機関(WH
O)が5月、広告や販促活動の原則禁止・規制強化を盛り込んだ「タバコ規制枠組み
条約」を採択するなど、タバコ広告への規制強化が世界的に加速しているのを受け、
全面的に指針を見直す。

●タバコ広告に未成年人気のタレント禁止  財務省が指針改正案(2003.12.16)
 財務省は12月16日、未成年者向けたばこ広告の規制強化を柱とした、業界の自主規
制に関する指針の改正案をまとめた。未成年者に人気があるタレントを広告に起用し
ないことなどが盛り込まれた。
 世界保健機関(WHO)が5月に開催した総会で「タバコ規制枠組み条約」が採択
されたことから、国内での対応を検討してきた。広告に対する法的規制が困難なこと
から業界の自主規制で対応することにした。
 改正案では、未成年者の目に触れる場所でタバコの宣伝をしないことを求めた。現
在は、学校から100メートル以内での広告を自主規制しているが、対象エリアを拡
大することになりそうだ。
 見本タバコを配布する場合は、相手が未成年でないかを厳しく確認させる。新聞や
雑誌でのタバコ広告の扱いや、電車やバスなどの車内広告の規制強化については今
後、具体案を検討する。
 来年3月までに改正の手続きを進め、新しい指針を踏まえて業界団体が自主規制を
見直す。

諸外国のタバコ広告・規制の流れ

「概説」
◆アメリカでは1971年にたタバコ広告を禁止したが、その直後から新聞・雑誌、屋外
・交通機関での広告が増加。
◆ノルウェーでは1975年から国内における全てのタバコ製品の広告と販売促進活動を
禁止。
◆1990年代に入って、アメリカ映画における1分当たりの喫煙回数が再び増加し出演
者(主役)の喫煙シーンが増加。
◆日本の1995〜96年に放映された若者向けの連続テレビドラマ(民放)において、喫
煙関連シーンはアメリカの同種の調査に比べ数倍高い。ドラマの筋とは関係ないシー
ンが多く青少年に対する影響ははかりしれない。頻回に見ることによって喫煙に対す
るプラス指向が広まる。
◆EUでは2006年までに原則的に全てのタバコ広告・スポンサー活動を禁止するよう決定。
● WHOのタバコ情報 (禁煙医師連盟 切明義孝氏訳)
1、子供達にタバコを売っている重大な証拠・タバコ広告は3歳の幼児にも影響を及ぼします。
調査によると6歳の子供でもタバコCM俳優のジョー・キャメルをミッキーマウスと同
程度に知っていました。他の研究ではジョー・キャメルは大人より子供に人気が高い
事が分かりました。
・子供は、TVでのスポーツ放送で最も頻回に宣伝されるタバコの銘柄を良く知っています。
・9歳の子供達はタバコ広告の影響を受けやすく、タバコを吸い始めることに対し、
肯定的なイメージを受けている事が明らかになりました。
・11歳の子供達が最も印象深く記憶しているタバコの銘柄は、最も頻回に広告され
ていました。
・調査によると10歳と11歳の子供達の3分の1、および中学生の半分はスポーツ・スポン
サーであるタバコの名前を述べることが出来ます。
・タバコの宣伝活動は未成年を標的にしており、より幼い子供達を魅了する内容にな
っています。
・ティーンエイジャーは最も人気があるスポーツのスポンサーであるタバコ銘柄を好みます。
タバコ産業は非常に巧妙な宣伝活動を行っており、子供にタバコを売っていること
や子供にタバコを宣伝していることを隠しています。事実、タバコ会社の宣伝活動に
より、子供達は「大人になること」と「タバコを吸うこと」を同一視しています。タバコ産業の
冷酷な宣伝活動によりティーンエイジャーは洗脳され、喫煙を肯定的にとらえ、
タバコを吸いたいと熱望しタバコを吸い始めます。
2、 知られていること-広告とタバコに関する事実
・1993年、健康局の主任経済アドバイザー、Dr. Clive Smeeさんは広告とタバコに
関する最も包括的な研究を発表しました。212に及ぶ時系列研究を調べた結果、広告
とタバコ消費量の関係について Smeeさんは結論しました。 「タバコの広告はタバコ
の消費量を増やすという説を支持する根拠があります。」
 Smeeさんは4ヶ国での『タバコ広告の禁止』の効果を検証しました。そして、『タバコ広
告の禁止』により、タバコ消費量は4%〜9%低下する事を発見しました。
Smeeさんは結論しました。
「『タバコ広告の禁止』は交絡因子による影響を考慮しても喫煙率の低下をもたらします。」
・時系列研究による計量経済学的な調査のメタ分析により、宣伝活動費とタバコ消費・の間
に正の相関関係を発見しました。調査により、宣伝活動費が10%増加するとタバコ消費量
が0.6%増加することが判りました。
3、1970年代:・1971年1月1日、米国ではTVでのタバコCMが禁止された。
・広告はタバコの売上に貢献する(1972)
Warwick大学のCentre for Industrial Economic and Business Researchの調査
「広告と旺盛なタバコ需要:英国市場の分析」は結論しました。「我々の調査では統
計的に見ると広告は販売量の増加に対する大きな効果があることが判りました。広告
は現在の販売量だけではなく将来の販売量にさえも影響を与えます。広告宣伝費を10
%増やせばタバコの売上が2.8%増加することが明らかになりました。」
・スポンサーの効果はありません。(1976)
Imperialタバコは言いました。「私たちの経験によると、スポンサー活動を行っても
タバコ需要は拡大しません。」
・タバコ規制に抵抗します。(BAT、1976年)
BATの『タバコと健康問題対策計画』によると、「私たちはタバコの広告規制に抵抗
するべきです。しかし、あまりにも頑固な態度をとるとタバコ規制を促すことになります。」
・広告収入によりメディアの編集者は沈黙します。(1978)
調査によると、メディアは広告収入のため、批判的なコメントを書けないことが明ら
かになりました。「私は7年間出版社で働きました。しかし、タバコ広告を掲載する雑誌には
タバコが人々の健康や社会そのものを破壊するという明確な警告記事を一度も掲載す
ることが出来ませんでした。広告収入は全米の雑誌社の編集者を沈黙させたのです。」
・タバコ規制国への働きかけBATの役員は、マーケティングに関する5日間の会議に出
席しました。「広告規制の内容は国ごとに異なるようです。タバコ広告が禁止された
国でもテレビやラジオなどを利用して大々的に宣伝活動をする方法が無いか模索すべ
きです。」
(BAT、1979年)
・タバコを連想するタバコ以外の製品を探しましょう。
「あらゆる機会を通じて、タバコ以外の製品等でタバコの銘柄を連想するようなもの
を探しましょう。視覚的に訴えるものがよいでしょう。これは、長期的でコストがか
かる提案です。しかし、タバコを直接的に宣伝することが禁じられた場合にはタバコ
を効果的に連想するように宣伝しましょう。」(BAT、1979年)
4、1980年代:
・若者が熱中するスポーツ
Imperial Tobaccoの『Player's Filter Creative Guidelines』によると、「16歳か
ら20歳の子供達に人気があるスポーツを広告に利用すべきです。そうすれば、彼らは
近い将来タバコを吸いたくなるでしょう。」(Imperial Tobacco、1981年)
・芸術賞
Imperial Tobaccoの会長Andrew Reidさんは『Imperial Tobacco 芸術賞』のスポン
サー活動の理由について説明しました。
「長年、我々は芸術活動に対して大きな支援を行ってきました。なぜなら、この国の
文化は国際的にも大きな影響を与えてきたからです。そして、それは、タバコ産業を
広く宣伝する機会をも与えてくれました。スポンサー活動は我々の日々の営業に大
きく貢献してくれました。」(1981) 
・黒人のコミュニティーを狙え
RJRのマーケティング計画によると、「大多数の黒人は洗練されたユーモアや、微妙
なユーモアに対して反応しません。彼らには判りやすく、率直に宣伝したほうが良い
でしょう。」
・販売は84%も増加(1987)
F1レースのロータスチーム・マネージャーPeter Warr さんはRJRの投資の影響に
ついて言いました。ブラジルでのキャメルの売上は少なかったが、ブラジルグランプリ
以降、売上は84%も増加しました。
・侮辱(1988)
広告代理店Abbott Mead Vickersの David Abbottさんは言いました。
「タバコの広告の目的は従来の製品の代わりに新らしい製品を吸ってもらうことで
はありません。7000万ポンドから1億ポンドもの大金を投じて、現状維持を図ったり、
販売拡大を狙わないはずが無いでしょう。広告は確かに少なくなってきています。
しかし、広告は女性や第三世界で新しい喫煙者を増やしています。タバコ広告は政府
の矛盾した態度とあいまって健康教育を困難にしていると思います。」 
・タバコ産業は無意味な話をします(1988)
McCannEricksonの広告担当重役Emerson Footeは2000万ドルの予算を動かしていま
した。「タバコ産業はタバコ広告により売上は増えていないと、巧妙に主張していま
す。これは全く馬鹿げた主張です。タバコ産業も判っています。私は広告により様々
な商品の消費量を増やしました。タバコ産業は奇跡的な大失敗をし、タバコの消費
が伸びなかったと主張しています。」
・死の商品を売る方法(1988)
5つのタバコ会社の販売コンサルタントを経験したことがあるFritz Gahaganさん
は言いました。
「問題はいかにして死の商品を売るかという事です。いかにして年間35万人、1日
当たり1000人を殺す毒を販売するか?大宇宙、山、屋外、湖、海岸などのイメージを
利用して販売します。健康な若者、運動選手等も販売に利用します。タバコが有害で
あると言う印象は与えません。新鮮な空気、健康、若さや活力など、誤った印象を利
用して毒を売るのです。」
5、1990年代
・英国はタバコ広告を禁止すると約束(1997)
英国の厚生大臣Tessa Jowellは、女王のスピーチの後、英国政府はタバコ広告を禁
止するつもりであることを発表しました。「政府はタバコ広告を完全に禁止すること
を約束します。これは効果的なタバコ対策を施行するために不可欠な第一歩です。」
・タバコ消費は減少しない(1997)
Imperial Tobaccoの最高経営責任者Gareth Daviesさんは労働党が提案したタバコ
広告の禁止について言いました。「私は合法的な大人の嗜好品の消費を抑える規制に
対し、断固として反対します。広告を規制してもタバコの消費は減らないでしょう。」タ
バコ広告禁止の裏をかくGallahersのスポークスマンはタバコ広告に関する政府の発
表に対してコメントします。「広告無しに製品を市場で販売する方法はいくらでもあります。」
以上WHO情報
● 1989年、米国公衆衛生局長官報告によるとタバコ広告がタバコ消費量を増やす
ことを決定的に証明する調査の困難さを強調しましたが、次のように結論しました。
(切明義孝氏訳)
「今までの調査や経験的、論理的証拠により宣伝広告活動はタバコ消費を増やしま
す。」公衆衛生局長官はタバコ広告は7つの機序で喫煙を増やすと推測します。
米国公衆衛生局長官はタバコ広告がタバコ消費量を増やす機序について説明しました。
1.子供達にタバコを吸うよう誘惑し、タバコ常習者に至らしめる。
2.喫煙者がタバコ消費量をさらに増やすよう誘惑する。
3.禁煙の意欲を減退させる。
4.禁煙している者を誘惑し再びタバコを吸わせる。
5.広告収入に依存するメディアを買収してタバコの危険性に関する報道を妨害する。
6.タバコ産業から資金援助を受ける団体を利用してタバコ規制に反対する。
7.あらゆるところで広告、後援活動を行うことにより、タバコがあふれる環境を作り、
タバコを容認させ、タバコの有害性に関する警告を減弱させる。
● 米国における未成年者向け雑誌タバコ広告の推移 (2001.8)(金沢大 野村氏訳)
タバコ産業との和解条項と雑誌におけるタバコ広告.
New Engl J Med 345: 504-511, 2001(8月16日号)から
背景:1998年,46州の司法長官は米国の4大タバコ会社との間の訴訟で,裁判所の
提示した和解案に署名した.和解は18歳未満を対象としたタバコ広告を禁止してい
る.
方法:我々はタバコ15銘柄の広告費用と,未成年者の38の雑誌におけるタバコ広告
への暴露の推移を解析.「若者向け」銘柄は,1998年に8年生,10年生,および12年
生が5%以上を消費している銘柄と定義,その他全ての銘柄を「成人向け」銘柄とした.
また「若者向け」雑誌は,読者の最低15%,または読者の最低200万人が12〜17歳で
ある雑誌とした.広告への暴露を測定する標準的測定法である「作用」は,特定の銘
柄のタバコ広告が掲載された雑誌を少なくとも1冊は読んだ,この年齢範囲の若者の
数とした.
結果:2000年の米国通貨に換算して,1995年に38誌に掲載された15銘柄のタバコ広
告費用は2億3820万ドル,1998年は2億1930万ドル,1999年は2億9110万ドル,2000年
は2億1690万ドルであった.
「若者向け」雑誌への「若者向け」ブランド広告費用は1995年には5640万ドル,
1998年は5850万ドル,1999年は6740万ドル,2000年は5960万ドルであった.「成人
向け」ブランドの「若者向け」雑誌への広告費用はそれぞれ,7220万ドル,8230万ドル,
1億860万ドル,6760万ドルであった.2000年には,「若者向け」銘柄タバコの雑誌
広告は,80%の米国の未成年者に平均17回ずつ「作用」した.
結論:タバコ会社との和解条項は,雑誌へのタバコ広告および未成年者のこれら広
告への暴露に対し,ほとんど効果を認めていない.
● 映画の喫煙場面は未成年者の喫煙を促す−−米国の調査(2001.12.20 )
映画作品でたばこが登場する場面を頻繁に観た未成年者では、喫煙率が比較的高
いことが、9〜15歳の青少年を対象とした米国の横断的調査で明らかになった。
British Medical Journal (BMJ)誌2001年12月15日号で発表された。
● TV ・ラジオのタバコ宣伝禁止へ(メキシコ)(2002.6)(以下6項目も切明氏訳)
メキシコでは来年からテレビ・ラジオでのタバコ広告が禁止されます。(ロイター
5月31日)
タバコ広告規制はメキシコの喫煙を減少させるキャンペーンの一部として実行さ
れます。広告禁止に加えて、厚生大臣のJulio Frenkさんは言いました。
「タバコのパッケージの、側面ではなく、正面にタバコの有害警告を表示するよう
に義務付けます。薬局でのタバコ販売の段階的禁止も計画しています。」
「私たちの政策は簡単です。」「多国籍企業であるタバコ産業に対し、タバコ産業
の母国が行っている同様なタバコ規制に、この国でも従うように求めているので
す。」
メキシコではPhilip Morrisの関連会社 Cigatam社とBATの子会社Cigarrera La
Moderna社がタバコ市場を独占しています。
厚生大臣のJulio Frenkさんは言いました。「メキシコ人の生命は米国人や英国
人の生命の価値に劣るという考えは受け入れることが出来ません。」
 メキシコでは毎年、タバコ関連疾患で5万人が死亡しています。さらに、タバコ
関連疾患の治療費として年間約30億ドルが費やされています。
● オランダもタバコ広告禁止(2002.7)
オランダ厚生省はヨーロッパタバコ規制指令の実施に伴いオランダでは今年11月か
らタバコ広告が禁止されると言いました。オランダの上院Eerste Kamerは4月にEU
の規制を採択しました。この法律は木曜日に厚生省が定めた予定に従って有効になり
ます。
11月7日から全ての印刷物以外の広告とタバコ会社のイベント、スポンサー活動が
禁止されると厚生大臣は言いました。来年の1月からは印刷広告も禁止されます。
2004年の初めには職場での喫煙と公共交通機関での喫煙が禁止されます。
隣国のドイツでは政府の努力もむなしく、ヨーロッパ指令がタバコ産業に妨害され
ました。ドイツのタバコ産業は大きな影響力を持っています。
● TVの喫煙シーン規制(イタリア厚生省)(2002.7)
 タバコ対策に熱心に取り組んでいるイタリア厚生大臣Girolamo Sirchia さんは
水曜日、テレビ局(Rai、MediasetおよびLa7)の管理者に、喫煙を促す番組や映画を
中止させるために、自警団の設立を提案する手紙を送りました。
 Sirchia 厚生大臣は手紙の中でTV番組には若者を狙う裏の意図が込められてい
ると述べました。「TV番組では喫煙が権力や解放、自由、SEXなどと連想付けら
れています。TV局はこのような間接的な宣伝を行うべきではありません。」
 Sirchia 厚生大臣は喫煙対策はEUの目標であり、イタリアも全面的に賛同して
います。この法案は自宅や特別に設計された喫煙所を除く、屋内での喫煙をほぼ全面
的に禁止するものです。カフェやバーを含む全ての屋内空間での喫煙が禁止されま
す。Istat(国立統計研究所)の最新の統計では、イタリアには1800万人の喫煙者
と1500万人の受動喫煙者がいます。
● 映画の脚本家がタバコを魅力的に演出したことを謝罪(2002.8)
 ハリウッドの脚本家(Screenwriter)で、映画"Basic Instinct"や"Showgirls,"
などの撮影に携わったJoe Eszterhasさんは映画の中でタバコを魅力的に演出したこ
とを謝罪しました。8月9日の Associated Press の報道です。
 長い間タバコを吸い続けてきたEszterhasさんは、先日、喉頭癌の治療を受けて
いることを公表しました。「私の多くの映画の中で喫煙シーンは重要な部分となって
いました。なぜなら私が攻撃的な喫煙者だったからです。」「喫煙は悪い少年のイメージの一
部でした。喫煙、飲酒、パーティ、ロックンロール、これは私が長い時間をかけて築
き上げたものです。」彼は語りました。
 57歳のEszterhasさんは、映画産業に、映画の中で喫煙を促すことを止めるよ
う呼びかけています。「私の手は血で汚れています。(訳注;人を殺したという意
味。)ハリウッドも同じです。」彼は語りました。「私は数えることが出来ないほ
ど多くの人々を殺した殺人者の共犯でした。私は神との契約により、これを事実であ
ると認めます。私を許してください。他人が私と同じような犯罪を犯すことを止めさ
せるよう努力します。」
● タイは飲食店、トイレでの喫煙を禁止(2002.8)
 タイ厚生省は積極的なタバコ対策を推進し、空調設備のある飲食店および公衆ト
イレでの喫煙を全面的に禁止すると金曜日に発表しました。
 Sudarat Keyuraphun厚生大臣は記者会見で現在の16種類の公共施設での喫煙を
禁じる法律を強化し、商店街、映画館、美容院を含めた19種類の施設での喫煙を禁
じる規制案に署名しました。
 「我々は空調設備のある飲食店での喫煙を禁止することでタイ国民の健康を向上
することが出来ます。」Sudarat Keyuraphun厚生大臣は語りました。この法律は11
月8日から有効になります。厚生大臣は法律に違反すると喫煙者には2000バーツ
($47.50)、施設のオーナーには20,000バーツの罰金が科せられると語りまし
た。5月に、タイはタバコ産業に対し、未成年者の喫煙を防ぐため、タバコのパッ
ケージに肺癌の写真を警告表示するよう求めると語りました。
● マレーシアがタバコ広告禁止へ(2002.8)
マレーシアは来年からすべてのタバコ広告を禁止すると厚生省は発表ました。し
かしながら、F1などのタバコ産業の資金に大きく依存しているスポーツは一時的に免
除されます。「先週開催された閣僚会議では、マレーシアでのタバコの銘柄に関する
あらゆる宣伝活動を来年の1月1日から禁止することが決定した。」と、Chua Jui
Meng 厚生大臣は語りました。しかし、サッカーとF1カーレースについては「さら
なる議論」が必要であると語りました。
 抜け穴!
多くのタバコ産業は先進国の市場の成熟と訴訟による打撃を受け、タバコ広告規制
が甘い発展途上国に利益を求めるようになりました。現在、マレーシアでは9歳以下
の子供達への直接的なタバコ広告を禁止しています。そこで、タバコ産業は間接的な
宣伝やスポンサー活動を通じてタバコを宣伝する抜け道を見つけました。しかし、改
正された新しい法律はさらに強力になります。
Mr Chua さんは語りました。3大タバコ産業であるBritish American Tobacco、
Japan Tobacco Industry 、Philip Morrisは今年の年末から全てのタバコ関連広告
を撤去することに合意したと厚生大臣は語りました。
 厚生大臣はタバコ宣伝広告費の増加と喫煙者の増加には関連があると語りまし
た。そして、タバコ産業は今年の1月から5月までに約1240万ドルを投じてタバコ
を宣伝しており厚生省はこのようなタバコ広告に対抗することは不可能だと語りまし
た。1986年の喫煙率は21.5%でしたが1996年の喫煙率は25%に上昇
しました。
● 英国政府タバコ広告禁止を検討(2002.8)
 英国厚生大臣は今年の年末までにタバコ広告が禁止される可能性があると語りま
た。タバコを宣伝する印刷物、インターネット、屋外広告などを禁じる「タバコ広
告と宣伝の禁止法案」が英国議会で承認されようとしています。もし、夏休み後にこ
の法案が承認されれば2002年末より効力を発揮すると厚生大臣のHazel Blears
さんは語りました。
「我々はタバコ広告の包括的な禁止を導入することを決定しました。」「タバコ広
告とタバコの宣伝活動を禁止することは、若者の喫煙開始を防ぎ、癌や心疾患などタ
バコ病による数多くの死亡を減少させることに繋がります。」「タバコ広告の禁止により年間
3000人の生命が救われる。」と厚生大臣は語りました。
 英国厚生省はタバコ広告禁止法案の重要な構成に関する諮問報告書を発表しまし
た。報告書はタバコを販売促進するための広告やタバコの銘柄のシェアを維持する
ための広告の禁止は速やかに効果を発揮することができるでしょう。しかし、ほとんどのス
ポーツ大会は2003年7月までにタバコ産業以外のスポンサーを見つけなければなり
ません。
世界的なイベントであるF1レースなどでは、例外的に、2006年の10月を目標
にタバコ産業によるスポンサー活動を段階的に廃止していきます。国民11月15日
までこの法案に対するコメントを提出することが出来ます。
● 『「マイルド」使用を禁止』EUタバコ規制新法 【ブリュッセルー日共同】
(南日本新聞 平成13年3月2日)
欧州連合(EU)は2002年9月末から、タバコの箱に喫煙の有害性を明確に警告する文
を印刷することを義務付け、「マイルド」や「ライト」などの用語の使用を禁ずる厳
しいタバコ規制新法を施行する。EU外交当局者によると、EU閣僚理事会と欧州議会が
2月28日、新法の内容に合意。双方は近くそれぞれ投票で法案を最終承認する。
米タバコ会社RJRナビスコの海外事業部門を買収し、欧州市場で「マイルドセブ
ン」の販売拡大に取り組んでいる日本たばこ産業(JT)なども事業戦略の再検討を迫られ
そうだ。
● ロシアのタバコ政策 (私的新聞の海外短信 平成13年) 
ロシア下院はタバコの広告を原則禁止する広告法改正案を採択した。タバコ専売店
以外でのテレビ、新聞、街頭広告が対象。「喫煙が健康を阻む」としており、ヨー
ロッパで広がる「タバコ広告規制」の動きがロシアにも波及したようだ

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